「はじめに、黄村先生が
黄村(おうそん)先生が大損(おおぞん)するってことで、黄村は「おうそん」って読むらしい。wiki見るまで気づかなかった。
黄村先生が主人公の小説は今回のものと『花吹雪』、『不審庵』の全3作品があります。
五十音順でたまたま今回が1作目で良かったーと読み終わってから思った。
黄村先生は天然ぽかった。内容もコメディみたいな感じ。
あらすじ
早春のある日、私と先生で井の頭公園に出かけます。
中の島の水族館で見た山椒魚にめちゃくちゃ興奮しますが、先生には動物学の知識がなく、山椒魚の生態などがわからないことを残念に思います。
それから1ヶ月後に先生を訪ねると、こっそり猛勉強していたらしく一端の動物学者になりすましていた。
先生は山椒魚に出会った喜びや山椒魚豆知識、巨大山椒魚を見てみたい!といった話を私にします。
この先生の話は私が速記していてその内容がそのまま書かれているんですが、カッコで私のツッコミも書かれているのが面白かった。先生のこといじってる感じ。
さらに4,5日後、私は甲州へ旅行します。
ちょうど厄除け地蔵のお祭りのシーズンで仕事に集中できなかったので、ふと目に止まった見世物小屋へ向かいます。
すると先生が死ぬほど見たがっていた伯耆国(ほうきのくに)淀江村の大山椒魚がそこに!
私は先生の話を聞いてたときはバカにしてたくせに、窒息するぐらい興奮して先生に電報を打ちます。
その夜、速攻先生が私の宿泊している宿にやってきます。
しかも大山椒魚を買う気満々で、大金を持ってきています。
早速見世物小屋の大将を呼び、商談を始めますが「お前みたいな隠居の趣味のために商売道具の山椒魚売るの無理~~」と言われ、商談成立ならず。
大将を見送った後、酔いと落胆のせいか階段を踏み外し腰にかなりの打撲傷を作ります。
結局持参した大金はほとんど湯治代に消えてしまいました。
黄村先生は自分で大失敗を演じて、その失敗を私たちへの教訓の材料になさるお方なのだろう、と私は思うのであった。
感想
黄村先生は自分の失敗をみんなの教訓にしてあげようとか1ミリも思ってなさそう。
ガチで山椒魚にハマって、自分の欲しかったやつが手に入れられるチャンス来たからすげえテンション上がっただけちゃうか。
元々一般人よりお金持ってると思うけど、山椒魚貯金してたかもしれないし。
理屈抜きで人間は大きいものを見たい!と思うんだ!という内容が先生のセリフにあって、わかる~と思った。
一昨年京都に刀観に行って、超でかい大太刀見てテンション上がりすぎたこと思い出しました。また見たいでかさだった。
順番変えて他の2作品先に読んでみよ。