この作品については名前知ってるだけあってガッツリ論文とかもあったので適当に考察も読んで感想書きます、と思ってた時期もありました。
- タイトルについて
ヴィヨンというのはフランスの詩人フランソワ・ヴィヨンのことです。
夫の大谷が雑誌にヴィヨンについての論文を発表していてその妻の話なのでヴィヨンの妻ってタイトルになってます。
ヴィヨンは窃盗してたり結構めちゃくちゃっぽいんですが、大谷もお金盗んでるのでそれも含めてヴィヨンの妻ということになってる。
- あらすじ
詩人大谷の妻である「私」(さっちゃん)目線の話。私の家は子どもが熱を出しても医者に連れて行く金銭的余裕のない家。
夫は毎晩お酒を飲み歩き、長い時は数ヶ月も帰って来ない。
ある晩その夫が帰宅するが、いつになく優しく、子どもの熱の心配などをする。
そんな私の元に見知らぬ料理屋の経営者夫婦が乗り込んできて、夫はその夫婦と口論となり家を飛び出す。
聞けば、大谷が小料理屋「椿屋」から店の資金を盗んで逃げていったという。また、以前にも数え切れないほど無銭で飲食しているという。さらには愛人までいる。
これを聞いて私は可笑しくていつまでも笑い続けていた。
話を聞いた私は、自分がなんとか後始末をするので警察に行くのは一日だけ待って欲しいと頼みます。
翌日、お金の都合がついたと嘘をつき、お金が来るまでは小料理屋の手伝いをすると言って店においてもらうことにします。
その日の9時頃変装した大谷と女性が店にやってくる。
大谷はその後知り合いの家に泊まり、翌朝に同伴の女性が営むバーで金をばらまいてパーティーをする。
いつもは金のない大谷の羽振りの良さを怪しんで事情を聴き出したバーのマダムは、警察沙汰になると厄介だと判断し、大谷を説得して小料理屋に案内させた。マダムは大谷が盗んだ金を立て替えてくれた。
私は残りの返済のために小料理屋で働かせてもらうことになる。
働き始めてから私はオシャレを始めたり、今まで胸の中にあった重苦しい思いから解放され、うきうきした生活を送るようになる。
2日に1回大谷が店にやってくるのでで一緒に帰ったりもする。
小料理店で働くうちに店にやってくるお客さん、店の夫婦がみんな犯罪人だということに気づく。
(この時代はお酒が配給制で闇取引でないと商売ができる量のお酒が手に入らなかったらしいです。)
私は大谷以上のどうしようもない世の中であると感じる。
ある夜、大谷はいないが大谷のファンである男性がやってくる。そして大谷不在の私の家で一夜をともにすることになる。
(他の人の感想読んでたらレイプって書いてあったけど浮気って書いてる人もいて正直。わからん。「けがされた」って書いてるから浮気じゃなくて同意なしの方が妥当だと思う。)
翌日、何事もなかったかのように私が店に行くと大谷がいた。
大谷は新聞に人非人(ひとでなし)と書かれていると言う。また、お金を盗んだのは家族にいい正月を過ごさせるためでひとでなしではないと言い訳する。
私は「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きてさえすればいいのよ」と言う。
あらすじで普段より分量多くなった。
- 感想
戦後数年の話なので生活が苦しい人たちばっかりで軽犯罪ぐらい目をつぶらないとやっていけないんだろうな。
とはいえしっかり大金盗む大谷はヤバいと思う。
個人的には妻も変わってるなと思う。
妻は社会に出た(=小料理屋で働き始めた)ことで世の中を知って最後の生きてさえすればいい、というのにつながるのかな。
この妻は大谷に対して寛容なのか感受性豊かなのかわからなさすぎる。
25,6歳で若いから大谷みたいな夫相手でもなんか可笑しいぐらいで笑ったりするんかなー。
どんな人でも生きてたらおっけーって考えを最後に持ってるのはかなり変化したなあと思う。
自分もその日あった男性にけがされたってのもあるので生きてるだけで充分って感じられるようになったんでしょうか。
有名な作品なのでめちゃくちゃ感想も考察もあって自分の感想書きにくい。
この夫婦はこれからどんな生活するようになったのか気になる。
色々考えたけど言語化できないし登場人物の雰囲気つかみにくいのでもっと年とってからもう1回読みたい。
そういや11年前に映画化してるらしい。
松たか子と誕生日一緒なので死ぬまでに見ます!