太宰・ブログ・治

太宰治の作品を基本的に五十音順に読んで感想書いたり、そんなこととは全然関係ない感想書いたりします。

『翼の翼』

年1でしか小説読んでないんじゃないかという状況。

たまたまTwitterで見かけたので読みました。去年出てたらしい。もっと早く知りたかった。

めっちゃおもしろいしめっちゃエグいしめっちゃグロかったです。


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自分が学生のときから芸能人の子どもの受験密着とか、ニュース番組の受験特集がやたら好きだった。

去年「二月の勝者」をドラマで見たその日に電子書籍で漫画全巻読んで、ドラマは7話で見るのやめたりしてました。

受験のことをめちゃくちゃおもしろいコンテンツだと思ってて、特に中学受験がおもしろすぎる。

大学受験はもう18歳とかで大人だし、親の介入も金銭面ぐらい(口出しする親もいると思うけど)なのでそんなにおもしろくない。

実際やるかは別として浪人して何回も受けたり、社会人なってから受けたり色々あって制限が少ないので面白味に欠ける。

小学校お受験はほぼ100%親主導のイメージあってこっちも微妙。

中学受験はギリギリ子どもからやりたいっていうパターンも多そうだし、親の介入も多いイメージで色んなせめぎ合いがあるので圧倒的に好き。

自分が高レベル中学受験を経験してないから完全他人事として楽しんでるだけで、自分の子どもとかだったら大暴れしてると思うのでみんな偉すぎ。成績下がったらキレてそう。

 

 

あらすじ

専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生。興味本位で進学塾の全国テストを受け、中学受験に挑戦することになる。最大手の進学塾「エイチ」に入った翼は、男子四天王といわれる難関校を狙う。中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。中学受験にまったく縁のなかった円佳が、塾に、ライバルに、保護者たちに振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていく―。過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。

 

感想

この作品は完全に親の円佳(まどか)目線で書かれてて息子の翼の心情は一ミリもわかりません。

実際も自分以外の人の心情わからんからなあと思いつつ読んでた。

おかげで円佳に感情移入しまくっておい!翼何してんねん!ってなる場面も結構あった。客観的にみたら円佳がヤバいやろと思うのに、読んでるだけで円佳側になりかけたのでびびりました。

 

円佳は受験掲示板を見まくってて書き込みもしてました。

自分も大学受験のときに大学受験サロンを読み漁っていたので立場違うけど気持ちだいぶわかる。

言うまでもなく読み意味はマジでなくてその時間で勉強するか寝たほうがいい。

大学受験サロンは夏頃は旧帝大絶対主義みたいな流れなんですが、実際受験が始まる冬になるとMARCHでも十分だろう、日東駒専でも十分だろうと偏差値的にはどんどんレベル下がっていくのでちょっとおもしろい。

大学入って友達できなさすぎて6月頃まで入り浸ってたんですが「大学入ったのにサロン入り浸ってるヤツwwww」みたいな書き込みあって悲しんでました。まあこっちが悪いからしゃーない。

普通にやり方わからなくて書き込んだことはないです。

作中の中学受験掲示板も同じような流れになってました。

円佳は最初掲示板に書き込みしたときは文章を何回も読み直して誤字脱字ないか、内容問題ないかと確認していたのですが、途中からLINE送るぐらい気軽に書き込みするようになってて慣れって怖いなと思った。そら悪口書くやつ出てるよな〜。

 

基本読んでて登場人物だいたい嫌いというか不快感ある。

なんでそんなことするんだ、そんなこと言うんだ、と思いつつ自分がその立場になったら同じようなアホなことしてしまうんだろうな〜というのが強すぎて不快感エグい。

小説だから誇張して書いてる!と思いたいけど全然現実にもある不快感がありまくった。

 

父親が翼が小5になるまでは中国で単身赴任してた。この父親がマジで無理だった。

日本帰ってきてから翼の勉強見始めるんですが、ちょっとしたミスでもキレて円佳が見てないところで手をあげてたったぽい。

キレる割に点数よかったりしたら異常に褒めててキツ〜〜ってなった。

円佳も殴られてること気づいてるのに、自分は受験経験ないから家では旦那に勉強見てもらわないと成績下がると思って結局黙認してたので非常にキツかった。

家で親が勉強見るのがいいことかどうかはよくわかりませんが。時間はかったりの手助けは小学生だからやってあげるべきだと思うけども。

 

「二月の勝者」で中学受験は課金ゲームだという話があって、この作品でも同じような話がありました。

課金するだけ強くなるのは確かかもだけど最終的に絶対合格できるわけではないからどうかな〜。

ソシャゲは課金したら絶対出るので!!出るまで課金したらいいだけなので!!

ソシャゲと受験の課金って対象が微妙に違うよな。多分武器を揃えてキャラを強くするということを共通点としてるけど、自分がやってるソシャゲは目的のキャラをガチャで出したらその時点で終了なので。

これは説明へたくそすぎて伝わらなさそう。ニュアンスで汲み取ってください。

とにかくソシャゲは出るまで課金しましょう。

翼は算数が苦手で一瞬だけ系列の個別指導にも通ってました。大手塾は同じビル内に系列の個別指導塾持ってるよね。

塾2個通いで成績上がった人いるのか??

商売だからって言われたらそれまでだけど。

 

自分と他人を比べるのは基本やっても意味ないだろうけど、自分の責任なのでまあいいと思う。

自分の子どもと他人の子どもを比べるのは非常に良くないと思った。

 

終盤は翼も情緒おかしくなって急に叫びだすシーンが増えます。親も子どももおかしくなっていくのがしんどすぎてほぼ泣きながら読んでた。

自分子どもおる??ってぐらいしんどかった。子どものための受験だったのに親のプライドのための受験になっていくのが良くないな〜でもそうなるのかな〜って感じ。

親が東大出てて子どもが頭悪かったら世間体保てないとかはわからなくもない(絶対よくない)けど、親そんなに賢くないくせに子どもに期待してしまうのがなあ。

自分の遺伝子見つめ直して過度な期待しないようにするべきなんだろうがそんなことできる人間はいなさそう。人間だなあ。期待しないのもよくないだろうし。

人間が人間を育てる生き物として未熟すぎると考えてるので、こんなんでよく世の中回ってるなといつも思う。

 

ラストは一応ハッピーエンドでエピローグとかもなくスパッと終わりました。

中学入ってからもきっと色々あるぞ〜。その辺は各自の想像で。

 

これは受験と関係ないことで、円佳が翼のことつーちゃんって読んでるのめちゃくちゃ気になった。男の子の母親ってそんな感じなんかな。

女の子に対してだったら抱かなさそうな感情が結構書かれてました。

 

受験生の親になる前の人、今まさにそうな人は読んだら多少勉強なるかも。

ちゃんと話としておもしろかったので読んでみてください。文章さらっとしてて読みやすかったです。

作者も中学受験生の親を経験してるらしいのでよりリアルな感じ出てそう。

読んで思ったこと羅列しただけなので読みにくくてすみません。

この倍は感想あるけど指痛めたのでやめました!

 

 

作者の朝比奈あすかさんインタビュー

中学受験で「毒親」にならないために 小説「翼の翼」著者の朝比奈あすかさんに聞く | 東京すくすく | 子育て世代がつながる ― 東京新聞