あらすじ
不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。
同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れる。依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるというのだ。依頼人に心当たりはないが、このままでは間違いなく刑務所だ。そこで賭けに出た玲斗は従うことに。
依頼人の待つ場所へ向かうと、年配の女性が待っていた。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと――それはクスノキの番人です」と。
(実業之日本社HPより)
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を思い出させるファンタジー系作品。
クスノキには不思議な力があり、その力の理由とかは一切なくて、とにかくそういうもの。預念(よねん)によってクスノキへ誰かに伝えたい想いを託し、受念(じゅねん)によって誰かがクスノキから想いを受け取るシステム。
想いを受け取れるのは血縁関係がある人じゃないといけないとか、新月か満月付近でないと力が弱いなどのルールはあります。遺言として利用する人が多いそう。
主人公の玲斗は父親の不倫相手との間に産まれた子どもで父親からの認知はされておらず、母親も早くに亡くしているのであんまりいい家庭環境では育ってないです。その上、不当に解雇された職場で盗みを働いて捕まってしまうのでかなり大変。
クスノキの番人も意味わからずにやらされてるだけなのではじめは全然やる気なしです。
祈念にやってくる人たちとの出会いや伯母と過ごすうちにビックリするぐらい成長してた。元々素直な性格なのかな〜とも思うけど、聞いたことそのまま吸収できるし好奇心もあるので結構早くクスノキの力に気づいてた。気づいたと言うより知ってる人から聞いてた。
クスノキに込められるのは「念」なので自分が思ってもないことまで相手に伝わってしまうらしい。便利だけど都合よくないのがファンタジー感増す。
言葉にできなくてもクスノキに預念できなくても、相手に向き合うことで思いを伝えることができるよね、からってことが最後の玲斗と伯母さんのやり取りから感じられました。
クスノキの番人の仕事、ちょっと楽そうなので代わりにやらせてくれ。