太宰・ブログ・治

太宰治の作品を基本的に五十音順に読んで感想書いたり、そんなこととは全然関係ない感想書いたりします。

『駆け込み訴え』

段落分けも何もなくて読みににくいなーと思ってたんですが、奥さんの美知子が太宰の口述を筆記してできたものらしいです。
しゃべるのもすごいし筆記するのもすごいな。

さすがに録音して書き起こしたのかな。

自分で書いたらよくない?とは言わずに書いてくれたんですかね。

 

とりあえず前知識なしになんとなく読んでて、女の人が愛しすぎたが故に恨みの感情も入ってしまったから相手の男を殺してほしいって訴えてると思ってたんですが、全然違いました。

よく見たら序盤にヤコブヨハネとか出てきてたから弟子のうちの誰かがしゃべってるんかーとなりました。

 

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全員俺の弟子


最後の部分読んだら誰が訴えていたのかわかります。

金。世の中は金だけだ。銀三十、なんと素晴らしい。いただきましょう。私は、けちな商人です。欲しくてならぬ。はい、有難う存じます。はい、はい。申しおくれました。私の名は、商人のユダ。へっへ。イスカリオテのユダ

ユダかい!!!ってなる。

「へっへ」って言うやつおる??雑魚っぽくなるよ。

 

ユダは師(イエス)に愛憎入り交じり複雑感情抱きまくりです。

エスが誰かに殺されるぐらいなら、自分がイエスを売って死んでもらった方がいいってぐらい愛してます。

他の弟子はイエスに付いていったら得すると思ってる。自分は何も得することがないと知っててそれでも離れることができない、俺が弟子の中で一番イエス愛してる!!愛し方のレベルが違う!!と主張しています。

エスのことを褒めたり貶したり繰り返してるところから本人も感情ぐちゃぐちゃなんだなーと思わされます。

 

完全なるヤンデレBLだった。ちょっとヤンデレは怖いので読んだことないですね。

ユダ×イエス、イエス×ユダで争い生まれるよ。

BLとしてすごいいい作品だと思う。

一気に捲し立ててしゃべってる感じとかなんか怖いし。

あの人を殺して自分も死ぬ!!というBL作品をよく読む人は是非。

これから好きなBL小説聞かれたら『駆け込み訴え』と答えます。

世界一初恋~吉野千秋の場合~』といい勝負になりました。

 

ちなみに、ちゃんと当て馬も登場します。太宰が当て馬と思って登場させているかは全く知らないです。

エスがマリヤという女性に頭に油注がれたのを見てユダブチ切れ。しかし、イエスは顔を赤らめ、しかもマリヤのことをかばう。ユダ嫉妬に狂う、といった感じ。

自分は女性に心奪われることなくイエス一筋なのに!ってめちゃ怒ってました。

一途っていうより独占欲強いのかなー。

 

BLって書いたけど、別に恋愛感情で愛してると連呼しているとは限らないのでその辺は読んで考えてください。

使ってるワードの威力が強いなとも思ったので、この物語を語ってる太宰のパワーはすごい感じられます。

太宰は何をそんなにユダに肩入れすることがあるんだろうと思ってしまった。

ユダ目線で書いてる時点で捻ってるなーと思うし。

 

聖書片手に読んだら太宰はそんな感じで聖書解釈してるのかーとも考えられるかも。

読書感想文書くんだったら、ユダの描かれ方の違いを書いたら良さそう。きっと読み込んでるなと思われますよ。多分。おそらく。

 

ユダがどこに駆け込んだのかは書かれてませんが勝手に必殺仕事人のイメージで読んでた。お金の流れ逆やけど。

経師屋の涼次のBGM『闇夜に仕掛ける』がこの世の中に存在する全BGMの中で一番好きなのでどっかで聴いてください。

 

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